ツワブキを生ける
象形流華道は野の花、野草、樹木をその生きとし生けるものの場を表現することを信条としているので、昨今はやりの抽象あるいは現代アート風の生け方とは違い、ある意味古風である。
また、扱う花が基本的に原種の野草であるので、生け花用に交配を重ね作られたいわゆる養殖のお花と違い色鮮やかなものはないのである。
今回の作品はツワブキの艶やかな深緑の葉をねじめにあしらい、鮮やかな黄色の花を天まで届くように配置して、絶え間ない氣の流れを描いた作品である。
それを感じるかどうかはあなた次第であるが、これは感性の問題であるので、良し悪しというよりはその人なりの判断でよろしいわけである。
ツワブキ(石蕗、艶蕗)はキク科ツワブキ属に属する常緑多年草である。
ツワブキは海岸付近の原っぱや崖っぷちや岩場などに生え、初冬に写真でごらんの通りの黄色い花を咲かせ、ツワブキという名の通りフキによく似た葉の植物である。
葉柄(ようへい・葉の一部で、茎・枝につながる柄のような部分)はカリウムや食物繊維やヘキセノールという抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含み、フキ同様に食えるのである。
ツワブキは野菜として春に旬を迎え、皮をむいて湯がいてアクを取れば煮物や野菜スープにしたりして美味しく食べることもできるのである。
我が家では鶏ひき肉や油揚げにショウガを加えて、カツオだしで煮物にして食うのである。
一般的には食用よりも観賞用として庭園に植えられるわけであるが、もちろん今回生けたツワブキは我が象形流気功道場の広大な庭園に観賞用に植えられていたものを愛用の生け花鋏でチョキンチョキンとつまんできたものである。
ツワブキの花は関東あるいはうちの近所では今が盛りで、今生けないで何時生けるのかというぐらいの旬の生け花である。
象源流華道は自然の花を生けるのであるから、そのときどきの花に合わせての生け方であるので、いわゆる型はないのである。
あたしのそのときの印象次第で形は変わり、千変万化の変容を見せるということを信条とするのである。
そうは言っても、わが道場の入り口に飾る花であるので、それなりに制約があるのは言うまでもないことである。
横に広がったりすれば入り口から人が入りずらくなるし、高すぎれば倒れる恐れもあるので、そこはそれ臨機応変の華道である。
象形流の大本の象気功はその場の状況に合わせて水のように形を変えて生きるメソッドである。
・象気功
コメント